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大学礼拝「キリスト教の暦(教会暦)について」2018/12/5

カテゴリー:大学礼拝

ルカによる福音書1:1-4
1:1‐2 わたしたちの間で実現した事柄について、最初から目撃して御言葉のために働いた人々がわたしたちに伝えたとおりに、物語を書き連ねようと、多くの人々が既に手を着けています。

1:3 そこで、敬愛するテオフィロさま、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、順序正しく書いてあなたに献呈するのがよいと思いました。
1:4 お受けになった教えが確実なものであることを、よく分かっていただきたいのであります。キリスト教の暦(教会暦)について

2週間にわたる実習が終って、今どんな気持ちですか。長かったですか、短かったですか。もう少し続けたかったなあと思っている人もいれば、もう十分と思っている人もいるかもしれません。いずれにしても保育者になるための貴重な体験、これからの日々の学びに生かしていってください。

さて、わたしたちが生きていく上で、暦は必要不可欠なもので、重要な役割を果たしています。暦のない生活を考えたことがありますか。とても考えられないですよね。

て、人間は早くから宇宙の法則、また1年間の自然界の規則正しい循環に思いを凝らすことよって生活のリズムを作り上げて来ました。社会的存在として生きる人間にとって、1年間の春夏秋冬という季節の移り変わり、1日の朝、昼、夜という時の流れが、共同生活を営んでいくために必要な自然暦を作り出してきました。それにそれぞれの民族固有のライフスタイルを維持し、受け継いできた習慣や歴史的出来事が付加され、今日の暦が出来上がってきました。

わたしたちが今使っている日本の暦は、いつから使い始めたか知っていますか。今から145年前の1873(明治6)年、明治政府が太陽暦(グレゴリオス暦)を採用したことに始まります。そして3年後の1876(明治9)年、日曜日を休日とするキリスト教的な7曜制が法制化されました。1週間を7日とする暦の源は言うまでもなく、ユダヤ教が聖典とする旧約聖書の創世記に書かれている神が7日間で天地を創造された物語です。日曜日の休日は、神が6日間で天地を造られ、7日目にお休みになったとされる安息日から来ています。そしてキリスト教の時代になって、イエス・キリストが復活された日が安息日となり、それが休日になりました。ですから、日曜日はイエス・キリストの復活を覚えて感謝する日が起源です。

このように明治の初期から、キリスト教文化圏の影響を受けた暦が使われました。普段、何も考えず無意識に使っている暦、実はキリスト教の暦なのです。因みに、それ以前の日本では太陰暦が使われていました。もちろん日曜日はなく、休日はお盆と正月だけでした。

キリスト教の暦はその前身であるユダヤ教から受け継いだ部分もあります。教会の暦(教会暦と言います)はキリスト教の暦と深い関わりがあります。教会暦は1年間の自然界の巡りを通して、聖書に書かれている神さまの出来事、歴史的なイエス・キリストの出来事、それに続く教会の出来事が折り込まれています。

わたしたちに与えられた1年間の日々を、一つの目標達成を目指して有意義に過ごすために役立つ暦として教会暦があります。

教会暦の新年は11月後半から12月初めのクリスマスを迎える4つ前の日曜日から始まります。アドヴェント(降臨節、待降節)と呼ばれています。今年は12月2日の日曜日から始まり、4つ目の日曜日12月23日を守り、12月25日の降誕日(クリスマス)を迎える準備期間がアドヴェントです。アドヴェントとは「来る、接近する」という意味のラテン語です。キリストが来られた降誕を祝い、キリストが再び来られる再臨の約束を、希望をもって待ち望むときです。そのために深い悔い改めと祈りと慎みをもってこの時を過ごします。紫の期節と呼ばれ、祭壇にかけられる布や司祭が着けるストールなどの祭色は紫を用います。この期間は祭壇にお花は飾りません。教会暦ではお祝い(勝利と祝福と純潔と喜び)の時を迎える前に準備の期間が定められています。心からお祝いし、喜びを分かち合うためには、悔い改めと祈りが必要です。クリスマスを祝い、感謝と賛美と喜びが大きなものになるための備えとして、悔い改め、心を清めることが大切なのです。クリスマスには勝利と祝福と喜びと命を表わす白の祭色の装飾布を祭壇にかけ、お花を飾ります。

1月6日の顕現日(公現日、エピファニーデイ~彩色は白)から占星術の学者の来訪に始まる顕現節~祭色は緑~に入り、イエス・キリストの神の子としての姿が、教会暦の礼拝で読まれる聖書を通して示されます。クリスマスから顕現日までが降誕節です。クリスマスツリーなどは1月6日に取り外されます。顕現節に続くキリストのご復活前の40日間は、大斎節(受難節、レント)と呼ばれる紫の期節で、キリストの荒野での悪魔の誘惑と断食の苦しみを覚えるとともに、最大の出来事であるイエス・キリストが十字架上で亡くなられた受苦日(受難日、聖金曜日)を祈りと断食と節制のうちに過ごします。

十字架の死から3日目、復活日を迎えます。キリストのご復活を祝うイースター(復活日)も勝利と祝福と喜びと命を表わす白を祭色として用います。 教会暦はイエス・キリストのご復活とご降誕という2つの中心点を軸にして出来上がっています。11月後半から3月から4月にかけては、イエス・キリストのご生涯の出来事に添った形で暦が作られ、4月から11月にかけての半年は復活節、昇天日、ぺンテコステ(五旬祭)の時、聖霊が降臨し教会が誕生した出来事(赤)、イエス・キリストの事績、お話になったことなどが教会の暦の中で、順次示されていく聖霊降臨節(祭色は緑~命、平和、成長を表す)を経て暦の1年間が巡る形になっています。

暦はわたしたちの人生行路を日々豊かに、目標に向かって導いていく役目を果たしています。キリスト教の暦(教会暦)に従っていく時、生きる意味が見えてきます。

皆さんはどんな暦に従って生活していますか?( チャプレン大西 修)


折り紙クリスマスツリー(学生食堂)

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