*
個別記事ページ

大学礼拝「時を見分ける~今でしょ!」2019/9/3

カテゴリー:大学礼拝

【ルカによる福音書12:54-57】
12:54 イエスはまた群衆にも言われた。「あなたがたは、雲が西に出るのを見るとすぐに、『にわか雨になる』と言う。実際そのとおりになる。
12:55 また、南風が吹いているのを見ると、『暑くなる』と言う。事実そうなる。
12:56 偽善者よ、このように空や地の模様を見分けることは知っているのに、どうして今の時を見分けることを知らないのか。」
12:57 「あなたがたは、何が正しいかを、どうして自分で判断しないのか。

「時」を表わす言葉としてギリシャ語にはクロノス(Chronos)とカイロス(Kairos)があります。

クロノスは過去から現在、未来へと決まった速度・決まった方向で機械的に流れる連続した時間を表わします。1分は60秒、1時間は60分、1日は24時間、1年は365日といった時刻としての時間。時が刻む客観的な時間のことをいいます。クロノスからクロック(時計)という語が生まれてきました。

もう一つのカイロスは、人間が受けとめる主観的、心理的な時間を表わします。受けとめ方や感じ方で長かったり短かったり、止まったり逆流したりする、内面的な時間です。ギリシャ語で「チャンス」(機会)の意味も持っています。嫌いな授業を1時間受けている場合の1時間と、恋人との楽しいデートの1時間はクロノスでは同じ1時間ですが、カイロスでは、嫌いな授業は数時間にも長く感じられ、楽しいデートは「うそ~、もう1時間過ぎちゃったの」と思うくらい短く感じられるのです。1回限りで、独自で質的な時、大切な時、決定的な時がカイロスという時です。

聖書に出て来るカイロスは独自で質的な時、大切な時、決定的な時としての意味を持っています。時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」(マルコ1:15)~神の新たな支配が始まる時が来たとのイエスさまのメッセージです。 その日、その時は誰も知らない。天使たちも子も知らない。父だけがご存じである。気をつけて、目を覚ましていなさい。その時がいつなのか、あなたがたにはわからないからである。」~ここで言われているその時とは、終末の時、最後の審判がなされる時です。(同 13:32~33) 時が来た。人の子は罪人たちの手に引き渡される。立て、行こう。見よ、わたしを裏切る者が来た。」(同 14:41~42)~ここでの時はイエスさまが十字架にかけられる重大な時を表わしています。また恵みの時に、わたしはあなたの願いを聞き入れた。救いに日に、わたしはあなたを助けた」と神は言っておられるからです。今や、恵みの時、今こそ救いの日。(コリントの信徒への手紙Ⅱ6:2)といわれている時も、神さまの支配がこの地上に開始された、何ものにも代えがたい大切で決定的な時を表わすカイロスです。

そのほかにも、イエス誕生が天使によって羊飼いたちに知らされた今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。」 (ルカ2:11) の今日今日、救いがこの家に訪れた。」(ルカ19:9)と徴税人ザアカイの悔い改めを喜ばれたイエスさまの言葉の今日は、何月何日の今日ではありません。特別な今日、かけがえのない2つとない価値ある今日、そうです、今なのです。

イエスさまは言われます。あなたがたは時間的経過の中で時を見分けることはできます。気象上では雲や風の様子、日照時間、潮の満ち引き、月の満ち欠けなどによって、また自然界では、季節の変化を虫の音、動物の移動や植物の色彩の移り変わりなどによって時を見分けているけれども、今の時を見分けることができないと指摘されます。

今の時を見分けるとは、今の時を吟味すること、解釈すること、与えられているしるし(兆候)を通して見分け、見極め、洞察することです。今はどんな時なのか、何をどう考え、どのように行動していけばよいのかを賢く判断し、実行することが求められているのです。

今でしょ!とは、あなたがたにとって、二度とない大切なこの時のことを言っています。皆さんにとってかけがえのない大学生時代、後期が始まった今日、わたしは今、何をどのように見つめ、吟味し、新たなステップへと進んでいけばよいのかの決断を迫られているのです。決して遅くはありません。毎日、祈りをもって(自分自身をしっかり見つめることも大切な祈りです。)歩んで行きましょう。(チャプレン大西 修)


学食の掲示板

このページの先頭へ