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バイブル✝タイム ルカ通読6【2:1-21】2019/10/29

カテゴリー:活動記録

天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」(ルカ2:10~12)

クリスマス降誕劇で良く知られたイエス・キリスト誕生の物語。今回は「マタイによる福音書」と対比させながら学んでいきました。

福音記者ルカは、イエスがベツレヘムで生まれて飼い葉桶に寝かされると、そこへ羊飼いたちが見にやって来るという物語を綴りますが、マタイの方は、イエスの生まれたベツレヘムの、その「家」に東方から学者らがやって来て高価な贈り物を捧げたと記します。

降誕劇の台本はこの二つの事実をミックスして作られています。だから、これでは、ルカとマタイがそれぞれ別の視点でイエスの誕生を捉えている点が曖昧になってしまうことに、今回はじめて気づかされました。

マタイの視点とは…。それは「学者」という権威ある者がイエスを拝んだことで、イエスの尊厳さを際立たせようとしたことです。それは権威を重んじるユダヤ人指導者の発想に近いものでした。でも、その学者らは異国人でした。だから、マタイは「ユダヤ人のために生まれたはずのイエスをユダヤ人が拝みに来ない」と風刺するとともに、イエスがユダヤだけではなくて全世界の救世主である点を強調することも忘れてはいません。

一方のルカは、当時、地位が低く軽蔑されていた職業である羊飼いを登場させます。弱者の側にいつも立つイエスを「飼い葉桶」によって象徴的に描こうとするルカの姿勢がここにも表れています。ちなみに、マタイが「赤ちゃんイエスが家に住んでいた」ことを示唆する、その違いを見逃してはなりません。

そして、羊飼いらに天使は次のように語ったとルカは続けます。
「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。(2:10)」  
「民全体」とは全世界を意味しますので、ルカもマタイ同様、イエスがユダヤだけの救世主ではないことを伝えます。なお、この「告げる」とは「福音を告げる」ことを意味する言葉だそうです。

さて、彼らは一連の不思議な体験を人々に告げ知らせますが、信じてはもらえなかったようです。でもイエスの母マリアは「これらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた(ルカ2:19)」のです。

マリアは羊飼いらの姿を見て感じながら確信を持ったのでしょう。「心に納める」とは、内緒にすることではなくて、しっかりと記憶するという意味です。

このマリアの姿勢は保育者となる私たちに常に必要な冷静さを教えてくれています。自分なり、独りで感じること…そう。大きな確信を得て、これからの道を冷静に歩いていく術をマリアから学べるのではないでしょうか。

飼い葉桶に寝かされたイエス。
「だが人の子は枕する所もない(ルカ9:58)」 
この御言葉どおりのご生涯が、今、始まったのでした。

次回もイエスの道をたどり、学んでいきます。イエスを大好きになる、そんな子どもたちが一人でも増えることを信じて。(Y)


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